浅野弁護士の所感

所感No・004「債権回収詐欺?」
(記・2003年7月)(追記・2004年12月)

最近、一方的に、「債権の譲渡を受けた」と支払いを強要する手紙が届いた、との
相談があります。

「債権を譲り受けた。連絡が無ければ、強制回収に入る」などの「脅迫的」文面で、
手紙ばかりか、電報(弔電や祝電)を送り付けるケースも増加しています。
(追記・その後、電子メールでも、ほぼ同様の所謂「架空請求」が多発しています)
「債権回収業」を名乗る場合が多く、慌てて電話等で連絡してしまうと、当然、
今度は電話を中心とした「恐喝的」取立行為に移行します。

根本的に、「貸してもいない金」を「だまし取る」のが狙いと考えられます。

すでに、所 感No・ 003「破産者への貸付」に記したように、何らかの方法で入手し た
多重債務者の「名簿」を元にしている部分は大きいと思われます。
以前に闇金融から借りた覚えがあると、ついつい、支払ってしまう方がいるので、
このような詐欺的商売が成り立つのではと思います。

このような手紙が届いた場合はすぐに最寄りの警察に、届いた書面を持って、
相談に行かれることを勧めます。

以下、依頼人の一人から、同様の事件を処理してくれと頼まれ、
当職が、業者に送った書面を、参考までに添付します。

ー例文ー

冠省。
貴殿は、当職の依頼人である***氏に対して、平成15年*月**日、
返済請求通知書なる書面を送りつけ、金員の支払いを要求しました。

先ず、貸金業規制法第24条に基づき、貴殿が譲渡されたと主張する債権に関して、
いかなる債権であるかを明示されることを要求します。これを明示しなければ、
同法48条の罰則が適用され、6ヶ月以下の懲役、若しくは100万円以下の罰金に
処せられます。

また、譲り受けてもいない債権を元に請求をなし、金員を受領した場合は詐欺と
なります。当職は警視庁生活安全総務課に、詐欺罪での刑事告訴を致します。

また、貴殿が、裁判上請求することを主目的として債権の譲渡を受けることは、
信託法11条違反で無効となります。
弁護士以外の者が、この様な裁判上及び裁判外の法律事務を行う事は、
弁護士法72条・73条違反であり、同法77条の罰則が適用され、2年以下の懲役、
若しくは300万円以下の罰金に処せられます。
当職としては、この件でも、刑事告発を考慮いたします。

また、元となる債権者が違法金融業者であった場合は、出資法違反の共犯として
刑事告訴も考慮いたします。
更に、既に違法金利により発生した過払いがある場合は、不当利得として貴殿にも
請求いたします。

本状を受領いたしましたら、7日以内に当職までご連絡ください。
ご連絡無き場合は、貴殿の発行した書面の写しを警視庁生活安全部に届けます。

弁護士 浅野 義治

『追記』
上記原稿公開から1年半経ちますが、いまだに、いわゆる「架空請求」は、
後を絶ちません(あの時点で「架空請求」という表記はまだ一般的では無かったので、
「債権回収詐欺」という題にしました)。
手口も巧妙になり、「身に覚えの無い」方への請求も、増加している様です。
当職へのお問い合わせも多い昨今、いくつか、追記しておきます。

「心配」「不安」「どうすれば」の声が大部分な訳ですが、確かに、当職に限らず、
弁護士に「法律相談」なり「個人顧問」なりを受けて貰えれば、架空請求は何ら心配
無用です。ましてや、債務整理等ですでに「受任中」の依頼者は、遠慮なく自分の
代理人弁護士に連絡すれば、事足ります。
元々、実在債権の法的整理 −−1例として、受任後は「債務者及び家族への連絡、
取立行為が停止する」(貸金業の規制等に関する法律(貸金業規制法)第21条、
及び、金融庁・事務ガイドライン第三分冊金融会社関係3貸金業関係3−2−6
( 旧・大蔵省銀行局長通達・蔵銀第2602号第2号3項 )に基づく)−− を
行っている訳ですから、その延長上の業務とも云えます。
詐欺師相手の「架空債権」なら尚更、相手にすらならないレベルの事件といえます。
が、前回掲載済みの上記「業者への書面」は、あくまで、「弁護士が、依頼者の
代理人」として送付した文面の抜粋であり、「個人がまるごとコピー」して流用
できる物では無い、という事は明記しておきます。
内容をご参照いただくのは、むしろ希望するところなのですが、その点で、
誤解や錯誤の無きよう、皆様にお願い致します。

そして、弁護士などの「有料」の相談や対処に、抵抗を覚える事もまた、理解できます。
仮に
弁護士報酬規定を遥かに下回る「安価」に設定してみても、元来、必要の無い
お金なのですから、それが当然なのでしょう。
その場合は――既に詐欺被害に遭った(支払いをした)場合も含めて――まずは、
最寄りの警察や、国民生活センター
(リンクページ参照)へ、相談すると良いでしょう。
もし、対象者が未成年の場合、保護者の方にも伝えておく必要があると思慮します。

「架空請求」事件は、基本的には「無視する事」が大前提です。
付け加えるなら、「一方的な相手の言い分を、簡単に信じない事」も大切です。
これは「あらゆる詐欺被害」に遭わない為に共通する、予防策的常識です。
ただし最近は「少額訴訟を悪用する」、「弁護士を名乗る」、「訴状を偽造する」等の
悪質な手口も増加しておりますので、それらの場合は、本当に「裁判所」等からの書面
かどうか、確認が最優先です(当然、いきなり書面に記載の「電話」に掛ける等は、
厳禁です。NTT電話番号案内104番や、公式ホームページ
(リ ンクページ 参照)等で
確認した、「本当」の裁判所や弁護士会、警察等に連絡する事が、必須です)。

いずれにせよ、「振り込め詐欺」の類は、事前に十分な知識があれば、なにも
問題は無い筈です。
当然、悩みの種、心配事になど、なる筈もありません。
以上、本文面(所感004)が、皆様の「平穏」の為に活用されれば、幸いです。

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